ショクライフTOP > 栄養士の知恵袋 > 日本のこころ、和食の知恵シリーズ⑤ ~「もったいない」から生まれた食べる技術/一物全体食(まるごと食べる、無駄なく食べる)

日本のこころ、和食の知恵シリーズ⑤ ~「もったいない」から生まれた食べる技術/一物全体食(まるごと食べる、無駄なく食べる)

2015年02月27日

皆さん、こんにちわ。
2月も残り1日となりました(+_+)
1年の6分の1が終わろうとしています・・・
いやぁ~早いですね(@_@;)

今年のスタートに描いた理想や目標は順調でしょうか?
節目節目に確認してリスタートと行きたいですね!(^^)!

さて、今回は 《日本のこころ、和食の知恵シリーズ⑤》として
「もったいない」から生まれた食べる技術
~一物全体食(まるごと食べる、無駄なく食べる)

をお届けしたいと思います。

「いただきます」の言葉に込められる「感謝」の思い

「もったいない」の心を持った日本人はその時に採れた食材を
出来るだけ長持ちさせること、出来るだけ効果的にいただくこと
で「生きる」上での「食の知恵」を働かせて来たことが和食文化
を紐解くと分かってきました。

その流れでもう一つ!「まるごと食べる」「無駄なく食べる」という
『一物全体食』というものがあります。

どんな食べ物も基本は「生き物」なので人間と同じく体の中に
「糖質」「脂質」「たんぱく質」「ビタミン」「ミネラル」
「食物繊維」などの栄養素を含んでいます。

その割合が違ったり、多い部分や少ない部分が異なるだけなんです。

私たちの食生活はこの「生き物」から「いのち」と「栄養素」を
「いただく」ことだという事はすでにこのシリーズでお伝えして
来ました。


せっかく私たち人間に与えて下さったその「いのち」、
できるだけ無駄なく「いただく」事が「感謝」の気持ちの表現
だという事が出来ます。

そうした日本人の「食」への基本的な「思い」「考え」「感覚」
がこの『一物全体食』を生み出したのでしょう!!

「低栄養価のものを多種類」と「高栄養価のものを少種類」どっちがお得!?

この『一物全体食』栄養面から言っても大変効率が良い食べ方だと
言えるでしょう。

写真をご覧ください。

日本人の主食である「お米」の構造と精白度合別に栄養成分が
どの位違うのか?を表したものです。

実は玄米の状態でお水に浸しておくと数日で芽がでて来て、
根っこも生えてきます。つまり「生きている」わけです。

生きるために必要なエネルギー(糖質)が「胚乳」にたっぷり蓄えられています。
その周りにある糠層や胚芽にビタミンやミネラルの成分を蓄えています。
エネルギー源である「糖質」を使って芽を出したり、根を生やしたりする
にはビタミンの力が必要なのでこうした構造になっているわけですね。

玄米と白米のビタミンB1を比較してみましょう。
ビタミンB1は糖質をエネルギーに使う時に必要な栄養素です。
玄米の方は白米の約5倍近く含まれていることが分かります。
脂質を利用するときに必要なビタミンB2は約2倍です。
血圧に関係してくるカリウムも約2倍、カルシウムも約2倍、
血液に関係する鉄も約2倍含まれている事が分かります。

どの成分も「生活習慣病」予防には欠かせない成分です。
それが毎日、ほぼ毎食食べる「ご飯」から補う事ができると
副食となる「おかず」の選び方も楽になってきますね!!

今回は「お米」を例に挙げましたが、基本的にお野菜でも
お肉でもお魚でも「丸ごと」の方がたくさんの栄養素を
含んでいますので無駄のない食べ方になるわけです。


この様に、一つの食べ物を出来るだけ丸ごと、無駄なく
食べることは他のおかずを作る手間も費用もかけずに
バランスの良い食生活の実現がし易くなるわけです。

出来るところから、少しずつ・・・

『一物全体食』と聞くとマクロビ?とかホールフード?とか
特別な調理法、料理法なのでは?と思われるかもしれませんが
もともと日本人が昔から行ってきた「もったいない」を実践
する食生活なのです。

ジャガイモやニンジンの皮をキレイに洗って剥く量を半分に
してみたり、白米をいきなり玄米では無く5分搗きにする
だけでも食卓が豊かになります。

何より「いただきます」や「もったいない」の心を持って
台所で調理することが何よりの愛情表現ですし、その愛情は
必ず食べてくれる方々に伝わることでしょう!!


そういう食卓で心も身体も健やかに成長するのだと思います。



おしまい。