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熱中症と水分補給
2015年07月30日
梅雨も明けて東京は毎日うだるような暑さが続いていますね
これだけの暑さが続くと、健康的な人であっても熱中症も他人事ではありません。
管理栄養士・栄養士のみなさんもこのシーズンになると
熱中症予防、特に水分補給について質問をされることが多くなってくるのでは
ないでしょうか。
熱中症発生しやすい時間
厚生労働省 2013年の「熱中症による死亡災害の時間帯別発生状況」によると
一番熱中症が発生しやすいのは
「16時台」とされています。続いて「15時台」、「11時台」、「10時台」と
午前中にも熱中症は多く発生していることがわかります。
適度な水分補給量とは?
運動中はもちろんですが、過度の脱水にならないように発汗量に見合った水分を
しっかり補う必要があります。同時に飲み過ぎにも注意が必要です。
適切な水分の補給量は、体重減少が体重の2%以内におさまることが目安となります。
○体重50kgであれば、脱水による体重減少は1kg以内におさめる。
ただし、運動強度や性別、年齢、気象条件によっても
状況は異なりますので、一律の数字で表すことは難しいので、あくまで目安として
参考にしてください。
水中毒
あまり頻繁に聞く言葉ではありませんが、マラソン大会などで水の飲み過ぎが原因で
死亡事故が発生した事例もあるため、ごくまれにしか起こらない症状(事故)とは
限りませんので、注意が必要です。
症状としては軽症では無症状のことも多いのですが、
倦怠感、吐き気、嘔吐、筋肉のこむら返りなどの症状がみられます。
重症になると肺水腫や脳浮腫から呼吸困難や意識障害が起こり、最悪の場合は
死に至るケースもある怖いものです。
運動中に起こる水中毒の原因はまだよくわかっていないことが多いですが
はっきりしているのは、過去に水中毒を起こした事例では、
いずれも、走る速度が遅く、レース時間が長くなるほど、また発汗量の少ない
冬場のレースに起こる、そして体重の軽い人(特に女性)ほど水が過剰に
なりやすく低ナトリウム血症の可能性が高まるということです。
運動中は脱水ばかりに気をとられ、摂り過ぎの方を注意することがあまりありません。
水であっても適量を超え、過度な摂取では低ナトリウム血症のリスクがありますので
「脱水」「摂り過ぎ」の両面から考えた上で予防・対策をすることを
おすすめします。
適切な水分
ここでは運動中に適切な水分補給とします。
摂取する水分ですすめられているのが、
① 5~15度に冷やした水を用いる
② 飲みやすい組成にする
③ 胃にたまりにくい組成、および量にする
飲料の中身としては、0.1~0.2%の食塩と糖質を含んだものが効果的とされています。
糖質については3~8%の濃度が胃での滞留時間が短く、吸収は早いとされていて
2.5%の濃度であると、ほぼ通常の水と滞留時間は変わらない、そして8%を超える
濃度になると胃に長い時間滞留するため、吸収速度が落ちるという研究結果も
あります。
※「スポーツ医学」のすすめⅡ より
上記①~③を見ると、おおむね一般のスポーツドリンクを活用して大丈夫ですが
激しい運動や厳しい環境下での活動の際は、体から消失される
ナトリウム量が多くなり、一般的なスポーツドリンクでは「ナトリウム」部分の
補給が間に合わなくなる場合があります。
スポーツドリンクには運動時に消失される「ナトリウム」がほとんど入っていない
場合も多く、購入の際は栄養表示の「ナトリウム」部分も確認してみましょう。