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湖国近江の郷土料理「いささ豆」 ─滋賀県─

2015年04月14日

【400万年の歴史を持つ琵琶湖】

モロコ、イサザ、ゴリ、ウロリ、イワトコ、ナマズ、ニゴロブナ、ビワマス、ワカサギ、アユ・・・何のことかわかりますか?これは、琵琶湖に生息する魚の名前です。琵琶湖は400万年の歴史を誇り、世界に10余りしかない古代湖のひとつです。その悠久の歴史が、琵琶湖に50種類を超える固有種を含む1,000種類以上の多様な動植物を育んできました。

自然と文化が見事に融合した結晶としての「郷土食」


琵琶湖の魚たちは、琵琶湖周辺に暮す近江の人々にとって、貴重なたんぱく源でした。人々は豊かな自然に感謝しつつ、湖魚をいかに無駄なく、おいしく食べるかということに知恵をしぼり、さらに、限られた水産資源を大切に守り続けることに大きな努力をはらってきました。

また、琵琶湖は古来より、京阪神への水源であると同時に重要な交通の要衝でした。日本海で取れた海産物や、北国諸藩からの多くの物資を敦賀で陸揚げして、塩津港で再び船積みして湖上を大津、堅田まで運び、陸揚げして京都、大阪へと運びました。

この、自然と文化が見事に融合した湖国近江には、数多くの郷土料理があります。滋賀県では、後世に伝えたい食文化を無形民俗文化財「滋賀の食文化財」として5点(湖魚のなれずし、湖魚の佃煮、日野菜漬け、丁稚羊羹、あめのいお御飯)を指定しています。

琵琶湖と関係の深い、佃煮の「いさざ豆」

いさざは、琵琶湖固有のハゼの一種で、昔からなぜか獲れなくなる時期があることから、漢字も「魚」偏に「少」と書いて「魦」(いさざ)と読みます。いさざは近年漁獲量が減ってしまい、幻の魚になりつつあります。いさざ豆は、いさざと大豆を合わせて佃煮にしたものです。

米どころ近江では、水田の畔に大豆を植えることが広く行われていたので、この大豆と琵琶湖の魚が合わさって生まれた料理です。いさざは近年漁獲量が減ってしまい、幻の魚になりつつあります。いさざは佃煮の他「じゅんじゅん」という鍋で食べられることが多く、白身でありながら独特の風味があり、ファンが多い湖魚です。旬は冬から春です。いさざは5㎝ぐらいの小さな魚で、骨ごと食べるのでカルシウムもたっぷりです。

【いさざ豆の作り方】

<材料>     

いさざ 200g
大豆 200g(ゆで大豆なら500g)
砂糖(ざらめ) 2/3カップ
醤油 1/2カップ
酒 1/2カップ
みりん 大さじ2

<作り方>

1.大豆は一晩水に浸け、指で押すとつぶれるくらいまで茹でる。
2.鍋に醤油、砂糖、酒を入れ、煮立てた中に、いさざを入れる。
3.いさざが白くなってきたら1の豆を入れて再び煮立て、沸騰したら火を弱め20分ほど煮る。
4.煮汁が少なくなったらみりんを入れ、煮汁が全体に全体にからめられるようになるまで煮る。(混ぜると魚が砕けるので混ぜない)